貧乏人は子供を産んじゃいけない、のではなく「お金が無いと子供が産める状況じゃない」のだ。
先日たまたまid:buyobuyo氏があるエントリでid:E-You氏のブクマコメントに噛み付いているのを見て、何事かと思いリンクをたどった訳だが、E-You氏のこちらのエントリを読む限り、E-You氏が語ったのはBuyobuyo氏が言うナチ的な優生思想ではなく、それこそその辺のオバちゃんでも言いそうな「出産費用も賄えない、健康保険料も払えないのに子供が育てられると思うの？」って話だと思ったのだった。*1
で、なんでそんなにこれに噛み付く人がいるのかなあ？もしかして「野良妊婦」*2問題知らないで言ってるんじゃないのかこれは、と思い野良妊婦問題についてGoogleさんに聞いてみた。まーいろいろ出てきましたよ〜
「妊娠しているにもかかわらず、産科・助産院への定期受診を行わず、かかりつけ医を持たない人のことを言う。」
そのため出産時には「飛び込み出産」となってしまい、下記のような問題が生じる。
- 出産時のリスクが高く、母子が危険にさらされる
- 出産時点で母子に関するデータがなく、感染症の有無が分からないため、病院では「感染症がある妊婦」として取り扱う事になる。結果、特別に部屋を用意したり人手が必要となり、通常分娩にきた人たちにしわ寄せがくることがある。
- 必要な処置が出来なかった結果、不幸な帰転をたどる場合もあり、その際裁判になるケースもある
- 生活に困窮し、受診しなかったケースにおいては、出産費用を踏み倒すものも多い
特に４に関しては、病院経営を圧迫してしまうこともあり、結果こんな話も出てきている
天漢日乗：産科崩壊 産科未受診妊婦が救急搬送されてきました記事およびコメントより
- 当初予約金として１０万＋退院時に３０万という話だったのに、料金体制が変わって２０週までに４０万円全額払い込んで下さいと言われた。
- ↑のように全額前金に切り替えるところが出てきている。
- 入院前バタバタしててうっかり前金持ってくるの忘れて「来週持ってくる」と言ってるのに「今日持って来ないと診ません」の一点張りだった。
ちなみに上のブログでは2chのニュース速報板からの引用だけど、Googleさんの回答にもスレ発見。ちなみに育児板。
そこから「被害実例」として挙ってたものを引用
7 ：野良妊婦の被害実例（その1）：2007/11/13(火) 11:48:26 id:q1LcHYbx
30名無しさん＠八周年2007/09/05(水) 22:52:50 id:Tly2SU61O普通に妊婦検診受けてて後期に入ってからの経過が悪くて
かかりつけ医の判断でＮＩＣＵがある病院へ救急搬送されたけど
幾つかの病院をあたったのちに受け入れ先が決まってたよ。
出す方は単純に近い所から打診開始して所見を伝え
受ける側はベッドの空き具合などによって判断する。
昼間の時間帯で病院同士のやりとりがあっての救急搬送ですら
幾つかの病院をあたるくらいは普通なのに
かかりつけ医もない妊婦を深夜に受け入れろって言っても
そりゃすぐには搬送先なんて見つからないでしょうね。
54名無しさん＠八周年2007/09/05(水) 23:34:56 id:didwwP8e0
>>30みたいな形で妊娠８ヶ月の時に個人病院から大学病院へ搬送されてた妊婦が
迷惑飛び込み出産の煽りを喰らって再び違う病院に回されて結局死産だった
という事例を知っていますが、そういう人はどこの誰を訴えればいいんですか？転院しなければならなかった理由は緊急事由（飛び込み出産）により
NICUのベッド及び母胎管理ベッドが埋まってしまったためであり
早産及び死産であったことは転院が理由ではなかったようですが
２度の転院でそこがどこなのかもよく分からないままに
死産のショックで一日中泣いていた姿が忘れられません。
その妊婦は私の姉でした。
8 ：野良妊婦の被害実例（その2）：2007/11/13(火) 11:51:18 id:q1LcHYbx
218 名前： 名無しの心子知らず [sage] 投稿日： 2007/09/17(月) 15:16:31 id:seSRyteR
初めての分娩中に、飛び込み被害？に合いました。
私は微弱が３日続き、体力的にもそろそろ限界との診断を受け、促進剤を使うことになりました。
そしてやっといい陣痛が来て、産める！と思っていたら、分娩室の外でなにやら騒ぎが…
外来に破水、子宮口全開の妊婦さんが来たとのこと。しかし、その病院での診察歴は無く、
母子手帳やかかりつけの医者もない事が判明。
破水した妊婦さんを無視することは出来ず、先生は受け入れる事に。
私はまだ子宮口も全開ではなかったため、今にも産まれそうな飛び込みの妊婦さんに分娩台を
譲る事になり、隣の陣痛室に移されました。
その間に促進剤がみるみる効いてきたのか、すぐに全開、破水。旦那が看護婦さんを呼びに
出ている間に産まれてしまいました。。
飛び込みの妊婦さんはまだ産まれていなくて、本来なら私が分娩台で産むはずだったのに、
なぜ布団の上で…？しかも一人で…。
なんだか無性に腹が立つと同時に悲しくなりました。
携帯から読みにくくてすみません。長文失礼致しました。
このスレに来ている人たちの多くは、事前に貯金したり、生活費をやりくりしたりして、何とか検診費や出産費用を捻出したクチだと思うのです。また、ただでさえ今は産婦人科医師の減少で子供を産める病院が減少しているため、産める病院を確保するのも一苦労、たとえ家から遠くても何とか通うしかないのだ。で、やっと出産の日を迎えたらそこに「野良妊婦」が飛び込んできて…
「真面目に」妊婦していた人たちからすれば「なんでやねん!?」ってなるの当然だよなー、って。
ただね、野良妊婦といってもひとくくりには出来ないわけで。
本当の生活困窮もあるだろうし、また受けられる公的補助について知らなかったというのもあるだろうし、出産一時金が出てもそれが父親のパチンコ費用になってしまったりというのもあるだろうし、最悪両親ともにDQNというのもあるだろうし。
また、普通の妊婦さんにしても検診や出産費用はけっこうな出費には違いなく*3、出産の経験の無い私も今回ネット巡りして、見聞では知ってはいたものの、ため息が出るばかり。
「出生率上げようと思ったら、検診や出産費用を国で負担するくらいしなきゃダメだよなー、産婦人科医も絶対数を増やさなきゃなー」というのが今回考えた結論ではあるのだけれど、と同時に思うのは、
「女性はもっと自分の身体とか、人生とか考えて行動しなきゃなー」って事で。
今の周産期医療の状況は一朝一夕には変わらない。飛び込み出産を受け入れる事の出来る病院はまだまだ減り続ける。このままでは予約無しの出産が不可能になる日も来るだろう*4。その時どうなるかを考えると…
だから先の見通しの無い妊娠は避けてほしい。まず自分のために。
心から願う。
参考リンク（敬称略）
「新小児科医のつぶやき」より
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071025
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071001
※産婦人科医＆子供が産める病院がいかに減っているかがよくわかる資料。必読。
asahi com
「飛び込み出産」が急増、経済苦や産科施設減が背景
東京新聞
『飛び込み出産』増加 死産など高リスク 搬送拒否要因にも
ほか
※父親として実際に経験された事を交えながら書かれています。良文。
※デスパレートな奥様が野良妊婦自慢大会…あああ
※１つ上↑のブログエントリにあった「ある業界」ってここで語られている業界…だよな、多分。紹介されているDVD画像モロアレなのでクリック注意。
#○付けたところはまあ…ごく一部の妊婦さんの話なんですが、こういうのもある、という参考に。
#11/25に一部加筆訂正。
#ここモエ語り日記なのに~~~~~~~~~（叫
